Cana's profileわたし、本が好き(2代目)BlogLists Tools Help

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    September 22

    『空白の叫び』

     
    「少年犯罪」は耳にしない日がないくらいニュースで流れています。
    私は少年犯罪よりも良し悪しの判断が出来る大人の犯す罪のほうが重要視されてもいいとも思っているのですが。
     
    『空白の叫び』 貫井徳郎さん著 
     
     
     
    三人の少年が人を殺すまでの思い。
    少年院での生活。
    退院後の生活。
    更生への道。
    を書いています。
    貫井さんは現代の「影」「課題」など、テーマ性のある小説を書かれています。
    ただ、それは読んでいて気持ちのいいものではなくて、いつも私自身辛くなります。
    小説は違う世界を楽しんだり、いろんな人間を感じ取ったりできる素晴らしいものだと思っています。
    でも、時にはこういう時事的な、これからの私たちが背負っていく問題を提起する小説も読んでみたくなります。
    辛くなったり、読後感が最悪でも。
    この作品もそう。少年達の叫び。
    それは親や友達に叫ぶことの出来なくなった少年達の、何も無い自分の中だけに叫ばれる「空白の叫び」なのです。
     
    久藤は元いじめられっこ。だけど中学生になって力関係が逆転し、「問題児」の道を歩く。
    家では家族と話さず、じっと孤独と怒りと欲望に我慢する毎日。
    同級生を脅したり、近所の犬を虐待したり、女を買ったり。
    でも、彼の中にはいつも瘴気が渦巻いていて、それが怒りだったり怖さだったり、思春期の感情をコントロールできない少年。
    彼は気に入らない女性教師をレイプし、その女性に溺れ、絞め殺してしまう。
     
    葛城は父が医者で、お金持ちの一人息子。美形で頭も良くて、義理母ともうまくいっているけど
    同じ敷地で住んでいる使用人の息子が昔から吐き気がするほど嫌い。
    でも感情を押し殺して何事も無いように暮らしている。
    ひとりが好きでつるむとか、特定の他人と仲良くするのを拒んでいる。
    ある日、趣味のプラモデルを壊した使用人の息子をゴルフクラブで撲殺する。
     
    神原は母に捨てられて、母の妹(伯母)と祖母と住んでいる。おとなしく、静かな性格。
    好きだった祖母が死に、母が遺産目当てに姿を現して混乱する。
    伯母は神原を守ってくれているが、母に騙されてお金を奪われ、自殺未遂を起こす。
    彼は伯母のために母の家に忍び込み、放火し焼き殺す。
     
    同じ歳で同じ少年院に入った少年達。
     
    犯した女なのに、自分が反対に犯されるのが怖くなって殺してしまった久藤。
    自分や両親を食い物にする彼は死んで当たり前だと、彼がいなくなった事に安堵している葛城。
    伯母のために殺したのに感謝をされるどころか、会いに来てくれない伯母への絶望を感じる神原。
     
    彼らは反省はしていないけど、少年院を1~2年で退院する。
     
    そして退院してそれぞれの生活を始めるのだけど、殺人を犯した少年達は世間から少年院よりひどい
    眼差しと仕打ちを受ける。それは自分の家族にも。
     
    一度殺人を犯した人間、それも中学生という若い少年は更生できるのだろうか。
    世間から嫌われ、前科は「肩書き」になり、家族からも恐れられ居場所を失う。
    傷つけられ人間性を失い、更生など出来るはずも無く彼らはまた罪を重ねる。
     
    殺人をする気持ちなんて分からないと思っていました。
    でもその反対になぜ殺人をする気持ちが分からないのかと問われているような作品でした。
    少年達は苦しい毎日の中で、信用できない人間同士、意地でも信用したがって
    同じ殺人を犯したもの同士自分の気持ちを吐き出していく。
    同意する訳でもなく、意見をする訳でもなく、ただ自分以外の人殺しを前にして落ち着く。
    彼らの周りに、手本となる大人は一人もいない。
    それはどうしようもない現実で、前に進むどころか小さい場所に縛り付けられ空虚の未来を荒んで見る。
     
    少年犯罪は今日もニュースを騒がせている。
    その少年たちは更生することができるのだろうか。
    更生できる環境に私たちが住んでいるのだろうか。
    それを限りなく自分の生活に近い場所で問われている気がしました。 
     
    作品としてはとてもおもしろい小説でしたけど、読んだ後はどっぷり凹みます。 
     
    September 12

    『名もなき毒』

     
    昨日は9.11でしたね。
    TBSでやっていた特番『NYテロ 五年目の真実』という番組を見ました。
    大袈裟じゃなくて、本当に身体が震えました。
    飛行機が突っ込む瞬間、人が空から降ってくる、遺体が見つからない遺族、奇跡的に助かった人、亡くなったたくさんの消防士さんたち。
    それに、報復の連鎖で死んでしまったアフガニスタンの人達。
    テロ撲滅のために、国のために他国の人を傷つけないために、出来ること。
    無限に広がる人類の課題だと思う。
     
    さて! 
    宮部みゆきさんのミステリー小説『名もなき毒』を紹介します。
     
    この秋はミステリーばっかり読んでいます。改めて、おもしろいジャンルだと思う。
    ミステリー作家さんで好きな作家さんは綾辻行人さんや森博嗣さん、乙一さん、島田荘司さん、有栖川有栖さん、宮部みゆきさんなど。
    どの方も個性のある素晴らしい作家さんです。
    新作が出たらつい買っちゃいます。
    最近読んだ有栖川有栖さんの「乱鴉の島」もおもしろかったのでまた紹介します。
     
    『名もなき毒』
     
    宮部みゆきさんのミステリーは結構読みやすいので、ミステリー初心者の方にもオススメです!
     
    ストーリーは主人公の会社員・杉村が会社でトラブルを起こしたアルバイト女性の身上調査を頼むため
    私立探偵のもとに訪れる。
    そこで出会ったのは連続無差別毒殺事件で祖父を亡くした女子高生・美知香。
    美知香は今だ見つからない犯人に対して怒りと、自分の母親が犯人と疑われていることにショックを受けていて
    助けを求めていた。
    杉村はなりゆきで未知香の相談にのることになった。
     
    恐怖って銃を向けられることや、包丁を振りかざされた時も感じるけど
    それよりももっと確実に個人に向けられる人間の感情や、
    その感情を押し殺して無差別に他方に向けることのほうがこの世には溢れていて。
     
    逃げ道が作れずに自分を偽って相手を傷つけたり、逃げ道ばかりが増えて前が見えなくなったり。
    そういう「名もない毒」がどこにでも存在していることも、恐怖だと思う。
    解毒剤はその人しか分からないし。
     
    他人がその人のことを考えようとしても、相手の深い心情は理解できない。
    そんな複雑な毎日に潜む「人間だけが持っている毒」を書いた作品です。
    楽しさや嬉しい感情は自然に溢れるけど、悲しみや憎しみ、恨みの感情はなかなか読み取れないです。
    我慢しちゃうんですね、自分の中で。そういう人が(私を含め)多いと思います。
     
    どこにでも存在する「恐怖」だからこそ、気づきにくく、いつのまにか侵されている。
    それに侵されてからやっと気づく。
    そばにあった「毒」に。
    壁に飾ってある銃を見ても恐怖を感じない。それを人間が持ってこそ、恐怖を感じる。
    人間が持つ毒は言葉や行動で生まれる。そういう話です。
     
    秋の読書にぴったり、だと思います。
     
    September 07

    『カクレカラクリ』

     
     
    今日は森博嗣さんの小説。
    実は、最近ミステリー中毒でミステリーばっかり(名探偵コナンを含む)読んでいますけど
    この作品はミステリーじゃないんです。青春(?)小説。
     
    『カクレカラクリ』を紹介します。
     
    『カクレカラクリ』 森博嗣さん著

    ドラマ化するそうです。森博嗣さんの作品では初映像化作品。

    私的には『S&Mシリーズ』を映像化すると面白いのでは?とも思う。

    いや、あれは無理かな。

    この作品はコカ・コーラ社とのコラボ作品と言うことで、人は全く死にません(笑
    死んだら困るよね。
    そしてコカ・コーラが至る所で登場します。最初は気になったけれど、途中からはちゃんと馴染んでいました。
     
    ストーリーは大学生の郡司(ぐんじ)くんと栗城(くりき)くんが同級生で憧れの女性・花梨(かりん)さんの田舎に同行する所から始まります。
    郡司と栗城は廃墟や古い物を好んで探索しに行き、調べるのが趣味の、おたく。廃墟マニア、みたいな感じです。
     
    花梨の田舎・鈴鳴。
    花梨の家『真知家』と昔から対立する『山添家』の確執。
    そしてその村には天才からくり師・磯貝機九朗が残したと言われている120年後に作動するからくりが
    どこかに存在する。
    そのからくりは今年作動すると言われている。
    廃墟・懐古好きの二人は花梨や、その妹・玲奈と通称『カクレカラクリ』を探すことを決める。
     
    そのカラクリにはいろんな謎が残る。
    まず、なぜ120年後なのか。
    どこにあるのか。
    どのくらいの大きさなのか。
    120年後作動させるからくりとは、どうやって作動させているのか。
    村に残る謎のメッセージは何を意味するのか。
    そのからくりが隠している秘密とは何なのか。
    そもそも、からくりは本当に存在するのか。
     
    廃墟や暗号を頼りに謎を解いていく推理モノだけど、そんなに深刻な推理じゃなくて
    もっと夏の冒険のような青春小説です。
    この作家さんでないと書くことは出来ない、理系頭脳プレーです。
    村の本当の真実と、その真実を守るためと後世に伝えるための『カクレカラクリ』。
     
    やっぱりミステリーにしてもこういう作品にしても、キャラクターが生き生きしていて個性があって
    さすがです。
    脇役でもしっかり設定が出来ているから、話が進んでいってもちゃんとそばにそのキャラクターがついて来てくれる。
    キャラクターがフラフラしていると、作品自体もグラつくし、心に残らないんです。
    森博嗣さんは、キャラクターつくりの天才と言ってもいいくらい!
    青春小説とあって、彼らの友情とかセリフは温かくて楽しくてとても良かったです。
     
    謎解きはね、難しかった(私には)。
    私は推理モノとかを読む時も一緒に推理せず、その主人公と行動を一緒にしている感じで
    物語を楽しむ方なので、最後までいつも解からない(笑
    読み方は自由だと思う。自分の読み方で楽しみたいね。
    ドラマも気になるので見てみます。 
     
     
     
    August 04

    強運の持ち主

    本の紹介の前に。
    お友達のKZさんが今日お誕生日です!!おめでとうございます~~パチパチパチ♪♪
    下手だけど、バースデーカード作りました。おめでたい日だもんね!
    シール貼って針金でお花作って頑張っちゃいました(^-^)
    ☆☆KZさん、お誕生日おめでとうございます☆☆

    以前紹介した「図書館の神様」の作家さん・瀬尾まいこさんの作品を読みました。
     
    『強運の持ち主』瀬尾まいこさん著
    なんでもないことを伝え残さず表現できる作家さん。
    新刊が出るとすぐ買っちゃいます(笑
     
    この「強運の持ち主」という作品は元・OLの占い師、ルイーズ吉田と占いに来た人達の交流を書いています。
     
    ルイーズ吉田はOL時代の経験から「一人でする仕事」が向いていると悟ります。
    それで求人でみた占い師になろうと決意するのです。
    資格も要らないし相棒も要らない、言うなれば「なり方」がない職業が占い師なんです。
    マニュアルは「占いの本」と「直感」のお仕事。
    ショッピングセンターの片隅で意外に繁盛している占い屋。そこにいるのが元・OLで
    特に修行したわけでもなく、昔から人の運命が見えるわけでもないひとりの女性。それがルイーズです。
     
    お父さんかお母さんかどちらかを選ばなければいけない少年
     
    ある人に自分に気を惹かせたい女子高生
     
    人のおしまいが見える青年
     
    いろんな人が訪れて、ルイーズの占いを信じる。
    それぞれ抱える悩みを占いながら、ルイーズも彼らの生き方を信じる。
     
    占いってそういうもんだと思った。
    当たるものでもなく、当たらないものでもない。
    占いの通りにしたってうまくいかない事もあるし、バッチリうまくいくこともある。
     
    強制して占いに忠実に従わなくてもいいんだ。
    少し背中押してもらったり、疲れたら撫でてもらったりするような関係で付き合えば
    占いも自分のいく道を支えてくれる。
     
    その占いをしているルイーズ自身も占いに来た彼らに助けられている。
    占いを信じるだけでなくて、そばに居る友達、恋人がいるんだから
    大抵はなんとかなるって気持ちも大切なんだなぁって思う。
     
    私はあんまり占いとかは信じないし、雑誌とかテレビとかでやっている占いも
    全く見ません。
    見ると信じてしまうし、それで落ち込んだりしてしまうからなんですけど・・
    でも、少しは安心して占いとも付き合えそうです。
    「占い」プラス「周りの人」を当てはめると安心出来ると思う。
     
    占いに従ってばかりじゃ、出来ないこともある。
    でも占いで助けられることもある。
    大切なものと占い。共存できる気がします。
     
    温かく元気が出る作品でした。
    それにしても、占い師って誰でもなれるのかしら。。私にも出来そうかも(笑
    「魔女の宅急便」のキキちゃんみたいな服着てやってみたいなぁ~~(^-^)
    July 25

    猫泥棒と木曜日のキッチン

    正直、「犯罪」ってよく分からない。
     
    その「犯罪」で救われる命があること、罪を犯してまで助けたい命があること。
     
    それでも、泥棒は犯罪だということは子供でも知っている。
     
    それが犬でも、小鳥でも、イグアナでも、子猫でも、すっかり成長している猫でも。
     
    母親に捨てられた子供、悲惨に死んでいく子猫。
     
    守るものがある子供、守ってくれるものがない子猫。
     
    『猫泥棒と木曜日のキッチン』
     
    久しぶりに読む小説は以前感想文を載せた『流れ星が消えないうちに』の作者
     
    橋本 紡さんの本です。
     
    温かい語り方と、強い信念と、深い傷と、優しい思いがたくさん溢れている作品を
     
    たくさん出されています。
     
    物語は、ある日母親が突然家出してしまい、父親違いの弟・コウちゃん(まだ五歳)と二人きりになってしまった高校生の女の子・みずきと、悲惨に道路でひき殺されてしまった子猫を一緒に埋めてくれる高校生の男の子・健一くんと、猫のお話。
     
    一度壊れてしまった家族をコウちゃんと健一くんと作り直そうとする、みずき。
    そんな彼女の生活に深い悲しみを落とす、猫のれき死体。その死んでしまった猫を庭に埋め続けることの意味。気持ち。
    次から次へと増え続ける庭の墓標。猫が死ぬ訳に直面した時、止められない気持ちが強さと弱さになる。
     
    本当は、私は家族と言うものが永遠に存在するものでは無いということを知っている。
     
    一度も崩れたことの無いものだけど、存在は確かだけど、永遠ではないと思っている。
     
    当たり前のように存在している家族を前に
     
    笑いながら心の底の冷たい部分でそう感じている。
     
    怖いから、消し去ることが出来ない。
     
    それを口に出して言うと寂しいし、潰されそうになる。
     
    実際に壊れてしまわないと、私自身どうなるかも分からない。
     
    この作品のみずきは壊れてしまった家族を作り直そうとしている。捨てられた弟と、大切なものを奪われた健一くんと。
    でもいつも必死ではなくて、必然に起こることを気ままに生きている。猫みたいな女の子だなぁと思った。母親のことも責めないし、帰ってこない事も悟っている。
    それでも真剣に生きているし、悲しいことも辛いこともある。
    その悲しいことがなくなるように自分の力で出来るとしたら、どうしますか?
    その悲しいことは猫の死で、その命を助けられるとしたら。
    その命を助けることが犯罪になるとしたら・・・
     
    みずきの決断とそれを助ける「作り直した家族」が揃う木曜日のキッチンに
    本当の家族と愛情と、壊れたものは作り直せるという希望が見えました。
    壊れたものは作り直せる。当たり前のことだけど。
     
    私はそのこともちゃんと知っていました。知っていたけど、誰かにそう言ってもらいたかった方が大きくて、知らない振り。壊れること=絶望だと思い込んでいました。
    今ある家族も、これから出来るかも知れない家族も。
    壊れることは修復できること。みずきたちが出会った猫たちは修復は出来ないけれど
    守ることは出来る。
    人間もそう。だから守るべき家族がいて、守られている幸せがあるから生きていける。
    死を知り、生を喜ぶ。
    当たり前のことだけど、この橋本 紡さんが言うと強いメッセージよりも軽い口癖のように
    聞こえるから不思議です。
    はっきりしたメッセージよりも、伝わることがあるって思った。
     
    捨てられたけど新しく家族を作る子供たちと、今まで守られることの無かった猫。
    一番大切なことと、一番優しいことと、一番欲しかった答えがありました。
     
    すごく、好きです。この作品。
     
    July 15

    夜市

    今日は地元で夏祭りをしています。
     
    夏祭りといっても、本当、ちっちゃいけど。
     
    小さい商店街で金魚すくいやわたがし、カキ氷なんかを売っていて、
     
    子供達が私の家の前を通って楽しそうに行っています。
     
    私も子供の頃は行っていたけど、クーラーの効いた部屋でテレビを見たり、本を読んだり
     
    するようになったなぁ・・・と、24歳にもなった今思う。
     
    明日、花火でもしようかなぁと考え中です。しかも一人で・・・
     
     
    そう、【夏】といえば・・・・
     
    花火・・・向日葵・・・祭り・・・海・・・スイカ・・・心霊写真・・・肝だめし・・・
     
    稲川淳二さんの怖い話・・・ということで?
     
    夏、ちょっぴりホラー(?)な一冊。ホラー小説紹介するの初めてですね。
     
    「夜市」恒川光太郎さん著
     
    姫だるまと一緒にホラーっぽく・・
     
    「第十二回 日本ホラー小説大賞受賞作」というすごい本ですけど、
    実際読んでみると、ホラー度はそんなに濃くないですので、怖いのが苦手な人も
    読みやすい作品だと思います。
    私もあんまりホラーは好きではないけれど(京極さんとか岩井さんの作品はよく読みますけど)、読んですごくおもしろかったです。
    例えば、日本昔話にありそうな、でも無いような。日本の風習と美しさ。
    そういうものが全部ひとつになって出来上がったような、そんな懐かしい感じもする作品かな。
     
    そして、夏らしいホラーです。ぞっとするような・・・ひんやりとするような・・・
     
    恒川光太郎さんという人はこれが処女作ということなので、初めての作家さんです。
    初めて読む作家さんはいつもドキドキします♪楽しみで!
     
    題にもなっている『夜市(よいち)』とは『望むものが何でも手に入る』この世の市ではない不思議な市場のことです。
    売っている商品も「黄泉の河原で拾った丸い石(一億円)」だったり、「何でも切れる剣(十四億円→値下げで九万円)とかだったり、売っている商人が妖怪だったり。
     
    主人公の裕司は今大学生。ある夏の日、同級生・いずみを「夜市」に誘うところから話が始まる。
    実は裕司は小学生の時、一度「夜市」に行った事があった。そこで買い物をしたのだけど、その買い物が裕司にとってかけがえの無いものを失う事になった。
    そのかけがえの無いものを買い戻すために、もう一度「夜市」に行く決心をする。
     
    「夜市」では望むものが何でも手に入る市。
    そして買わないとそこからは出られない場所「夜市」。
    当時、小学生の裕司が買ったもの、それはあんまり欲しいわけでもなく、あればいいなぁくらいのモノ。野球の才能が手に入る「野球選手の器」だった。
     
    それはとても高価なもので「人さらい(妖怪)」が売っていた。
    買わないと出られない、買おうとしてもお金が無い。
    裕司がお金の変わりに、才能の代わりに差し出したもの、それは一緒に迷い込んだ「弟」だった。
    弟を「人さらい」に差し出した裕司は後で両親と一緒に彼を連れ戻すからと約束したけれど、弟は姿だけでなく、今まで存在した形跡さえ残すことなく、居なくなってしまった。
    そして野球選手としての才能だけを手に入れた裕司は、弟を助け出してあげられなかったという罪悪感に苦しみながら生きてきた。
     
    そして、決心する。「夜市」に再び訪れた訳、いずみを連れて来た理由、夜市の掟が明らかになる時、夜市の恐ろしさと謎が彼らを襲う・・・というお話です。
     
    ホラー度が低いとは思ったけど、やっぱり人が感じる恐怖と、幻想的な「夜市」の光景がすごくリアルでひんやりする怖さがありました。
    あと最後まで飽きることなく一気に引っ張っていく文才がすごくて、久しぶりに感動しました。
     
    ラスト、展開も面白くて、でも悲しくて。ストーリーが進んでいってもラストの想像は出来なかった。
    それだけミステリーとしての楽しみも含んでいるので面白かったです。
    夏らしいホラー作品です。ホラー好きな人にも初心者(私みたいに)の方にもオススメです。
     
    July 10

    夜の朝顔

    「陽の子 雨の子」の作者豊島ミホさんの作品を紹介します。
    今の季節にピッタリかも・・(最近こればっかり言っていますが)
     
    「夜の朝顔」豊島ミホさん著

    主人公の小学六年間を書いた作品です。私は小学校・中学校・高校と
    通ったのですが、この著者と同じ小学校の時の記憶がすごく残っていて。
     
    私の小学校の時の思い出は
    一年生→運動会でこける。同じ小学校に親戚のお姉ちゃんが居た。
    二年生→忘れ物が多い。遠足で水族館に行った。親友が転校する。
    三年生→「学校七不思議委員会」(学校非公認)の書記をする。
    四年生→ミニバスを始める。初恋。
    五年生→担任の先生が三回変わる。二回目の恋。
    六年生→修学旅行で京都へ行く。「学校七不思議委員会」の副会長になる。
     
    ・・・・。他にもたくさん思い出がある。うれしかったこともあるけど辛かったことの方が
    覚えていたり。複雑だけど、私の歩んだ道。
     
    脱線しましたけど、この「夜の朝顔」は小学生のお話です。
    主人公の「センリ」(女の子)の成長と彼女の周りの人達の成長も描いている。
    センリが大きくなるにつれて感じる不安。早熟な恋。周りのセンリに対する感情の
    変化。全部が彼女にとって「悪」ではないし、「天使」でもない。
    だけど親戚のお姉ちゃんが高校生になってからは遊んでくれなくなったり
    隣町で女の子が誘拐される事件が起こったり
    嫌われ者の男の子に最低な感情を抱いたり
    嘘つきで、でも明るい新しく出来たお友達が親に虐待されていたり
    今まで親友だった女の子達が本当はいい子じゃないと気付いたり
    先生を「独り占めしたい」感情に悩んだり
    一人の男の子に不思議な感情を持ったり。
     
    そういう毎日が変化していくのにセンリはついて行くのに必死になる。
    決してその変化や成長は彼女を置いては行かないけれど引っ張ってもくれない。
    常に変化は微妙な距離で維持しているものなんだ。
    その距離がゼロになると、きっと人間としての成長は止まってしまう気がする。
    急な出来事が起こっても必ず心はその変化に対応しようとするから。
    そんな思春期のセンリが感じる「周りの変化」によって「自分の変化」にも
    気付き、大きくなることは楽しいことだけではないと思い始める。
     
    時々「子供はいいなぁ」って思うことがある。
    明るく飛び回っていたり、駆けていたり、ピアノに通ったり。
    でも私が子供だった頃「自分は子供だからいいなぁ」と思ったことは無いことに気付いた。
    友人関係に悩んだり、給食の牛乳が苦手だったり、かけっこが嫌いだったり
    心無い歌を歌う男の子達が嫌だったり、トイレも一人で行けなかった。
    大人を見る度、「大人はテストもないし給食もないからいいなぁ」と思っていた。
    大人も子供もお互いをうらやましいと思っているのはすごく不思議。
    子供は大人になったことが無いから憧れるのは分かるけど
    私は昔子供だったのに、たまに無邪気な小学生を見ると羨ましく感じる。
    「悩みなんてないんだろうなぁ」「失敗してもまだ若いからやり直せるよなぁ」とか。
    羨ましく感じるのは、子供の頃の自分に対して失礼だったんだと気付いた。
    忘れていただけで、小学生だって悩むし、失敗して挫折もする。
    恥ずかしながら恋もするし、おしゃれもする。
    その時がきても、センリはいつも言いたいことも言えず、やりたいことも出来ず押し殺してきた。
    その彼女の気持ちがすごく分かる。
     
    子供だから良かったこともたくさんあるけど、ほとんどは嫌なことだったような気がする。
    その記憶が強いだけかもしれないけど、嫌なことが多いということは
    成長がそれだけ早く、急で、その変化が気持ち悪くて逃げたかったからではないかな。
    それに何でも親に相談できた時期はあまりに短かった。
    自我ができて、恥を覚えて、初恋のもどかしさにのた打ち回った。
    私もセンリと同じ長女だから家庭での「立場」も似ているし、読んでいくうちに
    そんな気がしてきた。
    センリは私の子供時代っていう気持ち。
    子供なりに悩んで、答えを出してきて今の自分が在る。
    きっとセンリもそうだし、みんな「子供だった今大人」の人はそうだったと思う。
    センリは「自分」かもしれない。そう思った。
    簡単には答えは出ないし、諦めて飲み込んでしまったこともあったけど
    きっとそのままでも大人になる。大きくなる、複雑な気持ち。
    その気持ちを忘れても、消すことは出来ないから、また沸々と出てくるかもしれない。
    でも、「変化」は訪れてセンリは成長しなくてはならなくなる。
     
    そんなに単純じゃない。キレイな言葉でも傷つくことがあった。
    子供はいつだって真剣で傷つきやすい。私も子供だったはずなのに
    大人になると、すっかり忘れてしまっていた。
     
    私は最近この作者の豊島ミホさんの作品を四冊読んだのだけど相性がいい気がする。
    出会えてよかったなぁと思う作家さんになった。すごくうれしい。
    著者のあとがきに「誰にとっても小学生時代のアルバムになるように」と書いてあります。
    この本を読んで小学生の頃の自分をもう一度見つめ直したい。
    あの頃傷つきやすかった自分が、悩んで泣いていた自分が
    今こんなに成長していること、見せてあげたい。
    June 29

    きいろいゾウ

    なかなかこういう小説って無いなぁと思って読み続けた。
    「キレイゴト」が一つも無い小説。探したけど、ホント一つも無い。
    私だって「キレイゴト」が好きなわけじゃないけど、「キレイゴト」でしか伝えられない
    (そのほうが伝わる)言葉や表現だってある。
    それを使わないと相手を傷つけたり、自分が嫌な人間に思えたりする。
    きっと誰もが使ったことのある「キレイゴト」なんて使わないでも、温かく愛しい表現が
    出来るなんて、不思議。そんな小説。
     
    「きいろいゾウ」西 加奈子さん著

     
    題名の「きいろいゾウ」というのは主人公が昔読んだことのある絵本の題。
    で、小説の内容にもかなり重要なお話。
     
    二人の夫婦のお話です。無辜(ムコ)さんと妻利(ツマ)さん。ムコとツマ。運命の夫婦。
    二人が住んでいる小さな街(村に近い)での生活。
     
    ムコさんは駆け出しの小説家、ツマは主婦で二人は毎日小さなことで驚き、楽しみ、食べて暮らしている。
    例えば、野良犬が遊びに来たり、お風呂の中でカニが茹っていたり、
    近所の飼い犬が誘拐?されたり、みんなでその犬の探すチラシ作ったり、
    小学生にチーズを貰って本気で喜んだり、お笑いコンサートを開いたり。
    そうめんを茹で過ぎたり、誰のか分からないお墓に手を合わせたり、
    蚊帳が破れてもアップリケを付けて凌いだり、海に行ったり。
    本当、他愛無いと言ったらその通りの毎日。
     
    その中で二人は確かに夫婦なんだけど、少しずつ何かが違ってくる。
    ムコさんの過去だったり、ツマが見る幽霊だったり、二人の関係だったり。
     
    お互いが何かを隠していて、何かを恐れていて、何かを大事にし過ぎた。
    ちっぽけな事なんだけど、楽しくてうれしかったこともあったけど
    ちっぽけな事で壊れかけることもある。
    大事にし過ぎたもの。
    大事にしなかったものが無いのに、なくなってしまいそうな大事な事。
     
    相手を思うことで、無くすこと。
    それを無くしたくなくて頑張って、頑張りすぎてフラフラになって、でも無くしてしまいそう。
    頑張るとすれ違い、考えると不安で気持ちが見えなくなる。
    ムコさんとツマの気持ちがばらばらになった時、大事にし過ぎていた事が見える。
    お互いが思いすぎて、動けなくなっていた。
    お互いが思いすぎて、本当の気持ちを相手に伝えるのを恐れていたから。
    楽しかった毎日が遠くて、不安な毎日がもったいないほど早く多く過ぎてしまう。
     
    「わたしは眠ります。
    それがそこにあることを、知っているから。
    わたしは安心して眠ります。
    それがそこにあることを、知っていたから。」
     
    この言葉の「それ」が分かった時、きっと本当に夫婦になるんだなと思った。
    初めから気付く夫婦もいるかも知れないけど、私はムコさんとツマのように
    すれ違って、悩んで、泣いて、からっぽになって気付くのも幸せだと思う。
     
    きいろいゾウは空も飛べるしお月様ともお話できる「世界でいっとう、えらいゾウ」
    きいろいゾウはある体の弱い女の子と出会います。
    女の子はゾウにいろんなところへ連れて行ってもらえた。
    海へ行ったり、ピラミッドに腰掛けたり。
    その女の子は「ひとりはさみしい」と思っていました。
    ゾウも「ひとり」だったけど「世界でいっとう、えらいゾウ」だし、空も飛べるし
    寂しいけど、寂しくないと思っていました。
     
    女の子とゾウの別れるとき、ゾウは思う。
    空に帰ってもまた女の子に会いに来れるし、何処にでも連れて行ってあげれるけど
    その女の子と同じ世界にいたい、と。
    空も飛べないし、会えなくなるけど、それが「ひとり」じゃないこと。
    同じ世界で、女の子と同じ地上で生きれること。それが幸せだということ。
    必要な気持ち。
     
    そこに帰ってくる幸せがあるかぎり、自分は幸せだと思う。
    それが自分の必要なものになる。
     
    夫婦としての生き方、夫婦としてある場所。
    時には退屈して、眠って、朝ごはん食べて、野良犬と会話する。
    二人で笑って、泣いて、テレビ見て。また明日。
    そういう、幸せに満ちた作品でした。 
     
    私は独身だし、結婚願望も無いけれど。こういう夫婦になれたらいいなぁと憧れる。
    きっと私が結婚する時はこの物語を思い出すんだろうなぁ・・
    June 23

    陽の子 雨の子

    サッカー、悔しい。振り返ってみてもいいところ無い。そんなワールドカップだった。
    四年前、日韓共催の時は選手とサポーターとフィールドが一つになったけど
    それら全てがバラバラだった。マイナスのパスは目立ったし、FWはシュートすら
    打とうとしない。それに監督と選手の疎通もなかった。
    最後までお互い分かり合おうとしてなかった。見てたら分かる。残念すぎる。
    勝つ負けるより、重要なこと見逃してなかったのか。本当に、悔しいよ。
    KZさんとお揃い☆

    サッカーの話はここでおしまい。本の紹介します。
     
    恋愛のかたち、人と流れる生活、それぞれの生き方と幸せの置き方。
    そんな、話です。
     
    「陽の子 雨の子」豊島(としま)ミホさん著
     
    梅雨の時期に読みたくなる一冊を紹介します。
    豊島ミホさんという、最近読み始めたばかりのお気に入りの作家さんです。
    こんな恋もある、ということを堂々と表現できる人。
     
    内容は、短歌が趣味の女性・雪枝と、雪枝と暮らしている・・というか軟禁?されている若い男性・聡、その雪枝に惹かれている中学生の少年・夕陽の奇妙な関係。
     
    雪枝と聡はお互いその存在を認め合って一緒に暮らしているのだけど
    四年も一緒に暮らしていると、寄り添っていい時間を失いつつある。
    この二人の関係は「恋人同士」でもなく「監禁されている・している」の関係でもなく、
    ただ「ひとり」と「ひとり」の関係で、お互いうまく自分の気持ちを伝えられない。
    恋に、というよりは人間関係に臆病な二人。
    聡との関係に飽きてきた雪枝は友人の勤務先の中学校で夕陽と出会う。
    夕陽は「雨が怖い」少年だった。「雨が降っている世界が怖い」そんな少年。
    夕陽も初めての大人の女性に心が揺れるけど、雪枝と聡の関係が生まれた
    「世界」が自分の怖い「世界」に見えた。
    雪枝と聡、と夕陽が恐れているものが三人の関係から少しずつ存在を変えていく。
    そんな、話です。
     
    恋をしたいから人と関係を繋ぐのではなくて、恋に存在する不安と希望を感じるために
    人と関係を繋ぐ。
    恋しいと思うことは、とても不思議でコントロール出来るものではないと思う。
    「恋しい」と思うのはその人が好きだからだろうか。
    「恋しい」と思うのはその人を憎いからだろうか。
    「恋しい」と思うのはその人が「ひとり」だからだろうか。
    「恋しい」と思うのはその人がいないと自分が惨めだからだろうか。
    「恋しい」と思うのはその人に愛情を注ぎたいからだろうか。
    「恋しい」と思うのは雨のように突然降ってきて、地面を濡らしていく。
    地と空のつながりのように、人とのつながりに存在する手のようなものだと、思う。
    降らす方が居て、降られる方が居る。
    「恋しい」と思って降らすのではなくて、「恋しい」と思っているから降られるのではなくて。
    ただの行為に過ぎない。けど、その世界に怖さではなく恋しさが存在してもいいと思う。
    それは片方が「怖さ」になった時にも存在する感情であり、どちらも「怖さ」になった時
    消えてなくなるもの。でも、また突然降ってくる感情。
    その「恋しい」と思う感情をうまく開けれなくて、閉じてしまっていた雪枝と聡に
    夕陽が雨を降らせる。
    雨の降る世界が嫌いだった夕陽が自分で雨を降らせて、その世界に存在する
    感情に気付くんです。
    消え始めた気持ちに虹を掛けるように、雨の世界を混沌とした部屋に降らす。
    降らした自分も穏やかな気持ちになれて、雨の怖さから希望を貰うことができる。
     
    人それぞれの恋のかたち、恋しい気持ちが揺れる。静かな気持ちの変化が温かい。
    一言一言が恋する気持ちに突き刺さるように、読んでいる方も
    恋しい気持ちをもう一度考えたくなる。そんな作品です。
    June 14

    雪屋のロッスさん

    最近、梅雨入りしました。
     
    明日は豪雨だそうです(私の地域は)。
     
    雨は、でも結構好きです。(雨で困っている人がいるのに、失言ですけど・・)
     
    雨の日に部屋の中でじっと窓の外を見る、とか。雨の音を聞きながら読書する、とか。
     
    晴れの日の読書と雨の日の読書、どちらかと言えば雨の日の読書の方が心に残る。
     
    そんな気がします。雨の日は外の音が澄んで聞こえます。
     
    今日、紹介するのはそんな特別に読書がしたい日に読んでほしい一冊
    「雪屋のロッスさん」を紹介します。
     
    「雪屋のロッスさん」いしいしんじさん著
     

     
    実は以前からずっと読み続けていた作品です。
    短い、音楽一曲聞き終わるうちに読めるくらいの短編が30篇入っています。
    それを毎日じゃないけど、読みたい日に一篇づつ読んでいました。
    私の場合、ダントツで雨の日が多いです。
     
    「小説」、というよりは「童話」とか「物語」っていう表現が似合うと思う。
    30篇もあると、読み終わる頃には忘れそうだけど
    どれも、どの物語も細く、長く繋がっていて、もう一度読みたいって思う。
    そんな物語ばかりです。
     
    一つ物語を紹介します。
    「大泥棒の前田さん」
    前田さんは目立たない人ですけど、世界一の大泥棒です。
    前田さんに盗まれると、みんな諦めるしかないんです。警察も捕まえられないから。
    前田さんはこれまで、ありとあらゆるものを盗んできました。
    動物園のキリンを白昼堂々と盗み、翌日元に戻しておいたり
    銀行強盗から人質を盗んだり、盗みつくしてもう盗むものなど無いので
    毎日退屈していました。
    そんな時、こじきと出会い「いちばん盗まれちゃ困るものは無いかい?」と尋ねます。
    するとこじきは「何を盗まれようが、たいして困らない」と言いました。
    前田さんは怒って「これまで盗んだこと無いものをあなたから盗んでみせる」と・・・
     
    ・・・といった感じ。短編なので今書いた内容で90%くらいは書いてしまった・・
    普段、自分の近くにいそうな人達が登場する一方で
    ちょっと不思議な世界も体験出来ちゃったりします♪
     
    他にも「調律師のるみこさん」「棺桶セールスマンのスミッツ氏」「果物屋のたつ子さん」
    など、生きることで生まれる自分の仕事、環境に沿って話が進んでいきます。
    だから30通りの人生を楽しむことが出来る、そういう話です。
     
    もちろん、みんな生きているから楽しいことばかりでは無いし、
    悲しいこと、大変な苦労も生まれる。
    生きているからこそ、楽しいこと、寂しいこと、生きがいの仕事が出来る。
    それがその人の営みであったりする。
    そういうのって、大目に見ても幸せだと言えると思う。
    仕事があって、家族がいて、感情がある豊かさは誰にも平等だよ。
    そう、思った。
     
    その日常に少し注がれる、ふりかけみたいな「出来事」が
    絶望だったり、幸せだったりしても、それでも人生は続く。
    自分で決められる人生が無いということ、でも道は自分で創れるということ。
    些細な話ばかりだけど、つまらない人生は一つも無い。そんなことを教えてくれる作品。
    ☆☆☆特別な日に、そうでもない日にもオススメです☆☆☆
    June 04

    ZOO

    児童書ブーム(個人的な)も落ち着き、そろそろ小説が読みたくなりました。
     
    この数日間で、読んだ絵本・児童書はたぶん10冊以上。
    どれも面白くて、純粋に本が楽しいと思える作品ばかりでした。
    また、紹介したいと思います。
     
    そろそろ新刊も出ているかなーと思い。 
    そして、書店へ。
     
     
     
    私の好きな作家さんの一人である乙一さんの小説「ZOO」です。
     
    今回、購入したのは左の二冊です。
    右の以前発売していた「ZOO ズー」(写真右)の文庫本です。
     
    「自称本好き」の私は持っている本でも文庫本が出たらつい買ってしまう
    そういう人間なんです。
    以前、発売になった同じ乙一さんの「GOTH」も新刊が出た時に
    買ったのにも関わらず、文庫本も買うという・・
     
    ただ、文庫本に限らず最近本の出来が悪いことがしばしば・・
    乙一さんの本じゃないんですが、紙の質が悪い本(町長選挙 奥田英朗さん)や紙の大きさが
    ガタガタで(ブレイブストーリーの文庫版)、損した気持ちになります。本好きには残念な限り・・
     
    文庫本で違うところは、この「ZOO」という小説は短編集なんですけど
    その短編のうち映画化された作品を「ZOO 1」へ
    他の短編プラス未収録の作品を「ZOO 2」へ入れています。
     
    乙一さんの作品の魅力といえば
    ・ハッピーエンド、アンハッピーエンドというスタイルがないところ
    ・読者をちょっと騙すような一人称の置き方をするところ
    ・乙一作品ならではの読後感
    ・「黒乙一」→暗い、やるせない、人間の死体とか、異常者とかが基本
     「白乙一」→せつない、感動する、温かい作品
     と、同じ作家さんが書いているのかと思えない作品がある
    ・短編(が多い)だけど、読み応えたっぷり
    ・深夜、こっそり読みたくなる雰囲気がある
     
    だと思う。個人的に好きな作家さん。
     
    私が「ZOO」の中でも好きな作品は
    「SEVEN ROOMS」と「落ちる飛行機の中で」。
    いや、他の作品も大好きなんですけど、紹介したい2本です。
     
    「SEVEN ROOMS」は何者かに誘拐された姉と弟。
    閉じ込められた殺風景な室内。
    その部屋の壁を抜けて流れる水路。
    その水路を使ってからだの小さい弟が自分たちの部屋と
    他にある6つの部屋を行き来するうちに
    ある真実に直面する。
    そして、その部屋からの脱出を姉と一緒に企てる。
     
    という話です。
    乙一作品の「黒」の部分が濃く出ている作品。
    読んでいくうちに、ぐーっと引き込まれるような感じになります。
     
    「落ちる飛行機の中で」
    昔、自分を傷つけた男に復習するため、
    その男に会いに行く飛行機に乗った女性。
    しかし、乗った飛行機はハイジャックされてしまい、そのハイジャック犯と
    墜落するかもしれないという危険に冒される。
    そんな女性の隣のセールスマンは墜落する機内の中で、
    彼女に「安楽死」の薬を売りつけようとする。
    その「安楽死」できる薬を買って墜落する(かもしれない)前に
    死んでしまうか?それとも墜落しない方(死なない)に賭けるか?
     
    という話です。
    この作品は結構、淡々と自分の未来を考える女性とセールスマン・
    ハイジャック犯のやり取りがおもしろいです。
     
    「SEVEN ROOMS」は「ZOO 1」に。
    「落ちる飛行機の中で」は「ZOO 2」に収録されています。
     
    他にもおもしろい短編ばかり。乙一作品の「黒」が多く入っています。
    私はこの文庫本の短編の順番がかなり気に入りました。
    今から読まれる方は文庫本の方がオススメです。
    April 25

    流れ星が消えないうちに

    「プラネタリウム」つながりで紹介したい作品。
     
    「流れ星が消えないうちに」橋本紡さん著
     
     
    大切な人と自分の思いが重なる瞬間に
    流れ星がきらきらとたくさん流れるって
    とてもロマンチックだと思いませんか?
     
    まして、その流れ星は彼が夜学校に忍び込んで
    一生懸命作った「流れ星マシン」によって流れる
    彼女への六年間の思いを乗せた告白だなんて。
     
    この作品は、主人公・奈緒子の大好きな人・
    加地君が死んでしまって
    その人は、最後自分の知らない女の人と一緒で
    奈緒子は加地君の友達と今は付き合っていて
    でも、奈緒子は前に進んでいるようで
    全く進めていなくて、玄関でしか眠ることができない。
     
    大切な人をなくす代わりに得たものと
    大切な人をなくして一緒に失ったものが
    散らばって、不安定になる気持ちとか
     
    加地君を忘れていないのに、好きと思える人が
    いるという現実。
    加地君は私を裏切った。
    けれど、今私は彼を裏切っていると感じる痛さ。
     
    そして、今の彼も奈緒子に言えない真実と
    加地君との思い出に、悩んだり、
    誰かに殴って欲しい、ここで親友に罪悪感を持ったまま
    幸せになれないという気持ちがゆらゆらとあったり。
    自分も親友を裏切っているのではないかと
    心苦しかったり。
     
    そんな、人間の感情の醜さに直面した。
    人間の感情が醜いのは、人間らしい
    素敵なことだけど。
    大切な人を失ったことがある人ならきっと分かる
    感情が深々と心に沁みてきます。
     
     
    大事な人が死んでしまう話はたくさんあるけど
    この作品のラストは・・
     
     
    良いです。
     
    幸せになるための、決断とその一歩。
    ひとりでは出来ないことを、支えてくれる家族と
    大切な彼。
    思いを繋いだ「流れ星マシン」。
     
    決して悲しい思いを吹っ切れはしないけど
    一日一日を進んでいきたいと思うことで
    また、前に進める。
     
    悲しいことを忘れないで、生きる方法が
    どこかに隠れている物語です。
     
    April 19

    図書館の神様

    今日は良い歯の日ですね。
    ちょっと言いたくて(^^)
    さて。
     
    大好きな小説をひとつ。
     
    「図書館の神様」瀬尾まいこさん著
    これはもう三年くらい前の作品だけど、一年に何回かは
    読み返している、愛すべき作品です。
    もう「図書館の神様」っていう作品名だけでも
    本好きには素敵だ!と思わせるタイトルなんですけど、
    肝心の中身も大変良いです。
    でもこの作品の紹介は私自身を紹介しているような
    感覚に陥りそうです。
     
    特別なことは何も起こりません。
    ただ起こり得る日常が淡々と過ぎていく話です。
    22歳の主人公の講師・「清」の
    部員が一人しかいない文芸部の顧問としての日々。
    恋は平行線をたどる不倫。
    過去の記憶。
    優しすぎる弟。
     
    自分を表現する時、誰にもありそうな今と過去を
    持っている、普通の女性が過ごす一年。
    ただ、それを綴っているだけの作品なんです。
    どんでん返し(?)とか感動の涙とか
    そういう作品ではないのです。
    そう書くとおもしろくないの?と思うかもしれないけど
    もしかしたら、そうかもしれません。
    でも、この作品を読んでから
    私は確実に自分の居場所が
    はっきり確認出来たから。
    居場所っていうと大袈裟だけど、3年前
    自分の「確立する場所」が無かったのも事実で。
    そんな私と主人公が同等に思えて。
     
    だからこそ、自分と同じ目線で読むことができました。
    「物語の主役」ではなくて「脇役」だろうと思えるくらいの
    何も変化の無い日常に
    今を変えるチャンスがあるってことに気付けたし、
    夢は無くても前進できる未来があること。
    それをたった数人だけど応援してくれていること。
    失ったと思っていた人生は
    実は隠れていただけだったってこと。
     
    今も「確立する場所」なんてものは存在しないですけど
    でもその場所に近づいていることは確か、と思う。
     
    捨てるものが在り過ぎたんだと、気付いた時
    一番捨てたくないものってなんだろうって
    考えてみたら、一番得たいものを得ることが出来た。
     
    そんな思い出の作品です。
    April 16

    疾走

    大御所作家のお一人・重松清さんの著書
     
    「疾走」を紹介します。
    お風呂場用に文庫を買いました。
    上・下巻をつなげると顔の完成です。怖い顔・・
     
    単行本は本棚に大事においてある素晴らしい作品なんですが、
    すごく悲しい作品なんです。
     
    まず、ハッピーエンドじゃないところ。
     
    にんげんは平等ではなくて公平だということ。
    にんげんの一人になる瞬間の悲しさとからっぽさ。
    背負う運命と、背負わされた現実のやるせなさ。
    家族が崩壊していく様。
    性欲が与える快楽と悲劇。
    ふるさとの意味。
     
    主人公「シュウジ」がそのラストまでに
    与えられた運命を必死に走る、そんな物語です。
     
    話は「シュウジ」の住む田舎に現れた「鬼ケン」との
    出会いから始まります。
     
    ひとごろしと噂される神父さん
    同級生のエリ
    鬼ケンを覚えているひとりのアカネ
    罪を犯してしまう優等生の兄
    崩壊する両親
    親友だという徹夫
     
    たくさんの人に出会いながらも運命に逆らうことなく
    最悪のラストに向かう「シュウジ」は
    最初から最後まで、本当に駆け抜けたようでした。
    「ひとりが寂しくないと感じるのが一番寂しいことなんだ」
    この言葉を15歳の少年が言う彼の将来は
    なんだろう、と思った。
     
    「殺すぞ」というより「死ぬぞ」というほうが
    より相手を震えさせることができること。
     
    からっぽになって何も考えない人形になること。
     
    常に絶望を背負いながら自分で命を絶てずに
    からっぽのまっくろけの目で生きる「シュウジ」にあった
    見えない希望が、どうしてもっと早く
    彼の前に現れてくれなかったのか。
     
    読者の立場でも、やるせないし、幸せがこんなに
    遠いものなのかと悲しかった。
    でも、これが「シュウジ」の決めた道だったのかな、とも
    思えた。
    彼がしていたようにからっぽのまっくろけの目にしようとしても
    出来ないのは、絶望が無くて希望があるからで。
    にんげんが犯す意味と、犯される意味を
    真正面から書いている作品です。
    なので、かなり激しい描写があって
    少し気分が悪くなったけど、素晴らしい作品でした。
     
    にんげん「シュウジ」の生き様を見て欲しいです。
    April 01

    陰日向に咲く

    本屋とかで今山積みになっている話題の一冊
     
    劇団ひとりさんの「陰日向に咲く」を購入しました。
    そもそも劇団ひとりさんという方を
     
    ほとんど知らないのです・・(劇団の名前かと)
     
    俳優さんだと思っていました。芸人さんなんですね。
     
    なので、「誰が書いているから」という
     
    先入観はあまり無く読めました。
     
    内容は社会の落ちこぼれたちの純粋な気持ちを
     
    笑いを含んで書かれていました。
     
    登場人物は
    ・ホームレスに憧れるビジネスマン(妻子持ち)
    ・アイドルに恋をしているオタク
    ・勘違いをし続ける女の子
    など。
     
    はじめエッセイだと思っていたから
     
    「小説なんだ」と思ったのが第一印象で
     
    その後はどっぷりはまって読破してしまいました。
     
    素直な表現や痛い想像力が
     
    とっても面白くて、すこし苦い表現が心地いい。
     
    私は「ホームレス」の話が一番好きでした。
     
    常に思っている自分の周りを見る目が
     
    全くおんなじで、びっくりした。
     
    周りを気にしたり、隣の芝が青く見えたり
     
    自由が欲しいと思ったけど
     
    いざ自由になったら元の暮らしがなんだか愛しく
     
    感じたり。
     
    そういう普段感じている「外」に対する感情と
     
    「中」で巡る自己満足の妄想を
     
    おもしろく、日常的に描いているのが
     
    すごく共感しました。
     
    タレントさんの本じゃなくて
     
    作家さんとしての一冊だと思う。
     
    読み終わった後、もう終わり?まだ読みたいって
     
    思える作品です。
     
    他人の人生を覗き見たような、そんな感じ。
     
    読んで後悔はしない・・と思います☆
    March 29

    幸福ロケット

    今日また、本の衝動買いというものを
     
    してしまいました。反省・・
     
    ゴッチ語録→アジカンの後藤さんの本
    きいろいゾウ→西加奈子さんの新刊
    お父さんは心配性(文庫)→久しぶりに読みたくて
    ごくせん→新刊出ていたから。大好きです。
    ハガレン→最近読み始めました。面白いです。
    東京タワー→ついに、買ってしまいました!楽しみ!
    ロッキン→毎月買ってます♪
    cut→ジョニーデップ特集だったので
     
    最近買ってなかったから反動で・・ゆっくり読みます♪

    今日の読書感想は「幸福ロケット
     
    山本幸久さんの作品です。
     
    小学生の初恋・・なんか甘いなーと思いながら
     
    読みました。
     
    そして「あたし」とクラスの男の子「コーモリ」の素直な
     
    恋する気持ちに癒されました。
     
    すごく普通で特別な愛の表現とかは無いけど
     
    二人が好きになっていく過程が本当に自然で
     
    しかも、せつなくなってしまいました。
     
    「正直に人を好きになる」思いがきれいで、
     
    素直に応援している自分がうれしくなったり。
     
    小学生の小さな行動範囲で
     
    こんなにも素敵な発見や、思い出が作られていく。
     
    大人の恋愛が贅沢だったんだなぁと思い知りました。
     
    たくさんの言葉を知っていても
     
    彼らのように素直で身近な言葉で人に思いを伝えられるか
     
    自身がない。
     
    未来を考えないで恋をしていくことが
     
    今できるかも分からないし。
     
    昔持っていた気持ちがたくさんこの作品に詰まっていて
     
    時々懐かしくなるような恥ずかしい記憶とか
     
    今も残っている新鮮な友情とか
     
    そういう気持ちを引き出してくれる作品です。
     
    景色描写がとても上手な作家さんなので
     
    心の中にその光景が浮かんできます。
     
    ラストの台詞はひとつひとつがギューっと心を
     
    締め付けるような感動をくれました。
     
    プラネタリウムとかコーモリのお母さんが描いてくれた
     
    未来の似顔絵とか天文部作りとか
     
    彼らが経験する全てに心惹かれます。
     
    おすすめ!
    March 18

    天使の卵

    一回読むと満足する本と
     
    何回読んでも満足できない本って
     
    どっちが面白い本なんだろうって考えたことがある。
     
    一回読んで満足するってことは
     
    「面白かった!」ってことだと思うけど、
     
    何回読んでも全く満足できない本は
     
    面白くない本なんだろうか?
     
    う~んと考えても、答えが出ないのは
     
    そういう本がたくさんあるけど
     
    面白いってこと。
     
    その「満足できない本」の一冊に
     
    村山由佳さんの「天使の卵」があります。
     
    とっても素晴らしい作品で
     
    一年に一回は読み直す本です。
     
    芸大に行きたい予備校生・歩太と
     
    8歳年上の精神科医・春妃の悲しい結末は
     
    何度読んでも、泣いてしまいます。
     
    以前、ブログに書いた「天使の梯子」はこの
     
    作品の「続編」ということなんですけど。
     
    たぶん、初めて読んだ時から
     
    なんか満足できないでいます。
     
    読み終わった後も、もう一回好きなシーンを
     
    読み返してみたり、眠れなかったり。
     
    これって、どういう感情?なんだろう・・
     
    たぶん、満足していないんだ、と思う。
     
    そもそも、満足するっていうのは読者の個人的な
     
    感情な訳で、作品自体の完成度の
     
    問題ではないので、「天使の卵」を
     
    駄作と言っているのではないです。
     
    最近「天使の梯子」を読んでからは
     
    また堂々巡りで。
     
    「卵」→「梯子」→「卵」→「梯子」・・・無限ループ。
     
    この作品がとても好きだから満足できないのかな
     
    と、考えてみたり。
     
    物語は終わっているけど、私の中で夏姫も歩太も
     
    彼らの人生も終わっていなくて。
     
    終わらしたくなくて。だから満足しないのかな。
     
    そういう妄想する面白さが読者の楽しみでも
     
    あるんだけど。(うまくいえない・・)
     
    自分の中で「満足しない本」の正体が
     
    やっと掴めてきて、楽しんでいます。
     
    「満足しない本」があることで
     
    安心して読書を楽しめています。
     
    「満足しない本」が無くなったら
     
    読書が楽しくなくなりそうだから。
     
     
    「天使の卵」は今度映画になるんですね。
     
    歩太が市原隼人くんで春妃が小西真奈美さん。
     
    ベストの配役だと思ってます。楽しみです♪ 
    February 22

    100回泣くこと

    「100回泣くこと」は中村航さんの小説で
     
    私にとって初めての彼の作品です。
     
    100回泣くこと、という言葉に惹かれて
     
    なんとなく購入したのですが。
     
    読み始めから彼の優しい言葉に
     
    一気に引き込まれました。
     
    優しい言葉なのに引き込む強引さは
     
    驚くほどすごいです。
     
    彼女と同棲・婚約
    そして彼女の死
     
    幸せと悲しみが主人公を襲う。
     
    彼が自分の心に問うものが切なくて。
     
    本当に切なくなると
     
    心が正直震えました。
     
    彼女との別れの中で
     
    訪れる主人公の気持ちの激しさに
     
    私の心まで激しく打たれ、泣いてしまいました。
     
    特に私は小説や物語の中に
     
    ズッポリはまってしまう性格なので
     
    家族を思ったり、愛犬をかわいがったり
     
    すぐ行動に出てしまいます。
     
    再確認というか、認識ですね。
     
    自分の大切な存在に気づいたり
     
    消えてしまうことに悲しんだり。
     
    大切なものが無くなった空間に
     
    自分のこれからを、その空間に時間を使って
     
    埋めていく。
     
    私は大切なものを失った時
     
    それができるか分からないけれど
     
    きっと次に進める方法の一つだと思う。
     
     
    悲しみから次に進めるための一歩を
     
    丁寧に同じ歩幅で表現している作品です。
     
    悲しい物語だけど
     
    与えてくれる優しい気持ちが
     
    きっと明日を良いものにしてくれますよ。
     
     
    February 02

    砂漠

    青春小説というと、真っ先に思い出すのは
     
    石田衣良さんの「4TEEN」や
    あさのあつこさんの「バッテリー」でした。
     
    今日からはこの作品も思い出の青春小説に
     
    入ります。
     
    伊坂幸太郎さんの新作書き下ろし「砂漠」です。
     
    以前から好きな作家さんの新作ということで
     
    かなり期待していました。(期待っていうのは結構はずれますが)
     
    その期待を一切裏切ることなく、「砂漠」は
     
    素晴らしい青春小説!!です。
     
    ストーリーは5人の大学生の4年間の学生生活。
     
    恋をしたり、事件に巻き込まれたり、麻雀をしたり、
     
    友情を深めたり、悲しい出来事を乗り越えたり、
     
    超能力を見たり、砂漠を意識したり。
     
    この作品の中で“砂漠”とは自分の周りにある
     
    社会のことなんです。
     
    その砂漠=社会に出て行くまでの4年間の
     
    出来事をユーモアや社会的な問題をうまく調合して
     
    作り上げている、と感じました。
     
    5人と共に私も大学生活を送ったような
     
    爽快な気分です。
     
    青春小説のいいところってその作品の中の人物と
     
    同じ“今”を生きているとリンクしてしまう“のめり込み”が
     
    重要だと思います。突き放して、作り話だしと考えるよりも
     
    そこに自分がいて、話が自分を飲み込んで進んでいく
     
    と考えると、その作品は自分自身の青春になり、
     
    愛すべき小説になると思っています。
     
    愛すべき小説は出会えるととてもうれしいし、
     
    何年経っても当時の思い出と共に残っています。
     
    その愛すべき一冊と出会えた喜びで、今はいっぱい。
     
    あと、伊坂さんの作品の中で
    「死神の精度」という作品もかなりおすすめです。
    その作品の紹介もまたしたいです。
    January 31

    天使の梯子

    結構前に☆亮太☆さんという方から
     
    お勧めされた作品をやっと買いました。
     
    村山由佳さんの作品です。
     
    「天使の卵」の続編なんですが、
     
    「天使の卵」もかなり印象に残る素晴らしい作品でした。
     
    本日やっと購入し、早速お風呂で読破しました。
     
    泣けました。
     
    本当に温かい涙がでました。
     
    彼女の文章は涙腺を刺激します。
     
    夏姫の気持ちも慎一の気持ちもするすると
     
    私の心に入ってきて、感動を残してくれました。
     
    いつの間にか、自分の恋愛とダブらせたり
     
    二人の感情が自分に移ったように
     
    同じように笑ったり、怒ったり、失望したり
     
    ラストもすごく気持ちよい温かさが残りました。
     
    一言一言に普段聞きなれているはずの
     
    言葉の温かい意味を感じました。
     
    素直に恋愛をしたいと感じさせてくれる作品です。
     
    最後まで一気に引っ張っていく
     
    感情を刺激する文章は彼女の才能ならでは。
     
    なんだかいい気持ちでベッドに入れそうです。